コース目次 / 第0章
試食 — ブラウザの中のLinuxを歩く
インストールなしで、ブラウザの中で動く本物のLinuxを歩きまわります。
インストールは要りません。しかもこの章は、何をやっても壊れません。
用意するもの
ブラウザで WebVM を開いてください。本物のDebian(Linuxの一種)が、あなたのブラウザの中で動きます。アカウントもログインも要りません。
黒い画面に user@:~$ と出れば準備完了です。読み込みに少し時間がかかります。
user@:~$ は「どうぞ打ってください」という意味の目印で、自分で打つ必要はありません。この目印をプロンプトと呼びます。
ここで動いているのはあなたのブラウザの中のLinuxで、どこかのサーバではありません。何を消しても、ページを再読み込みすれば元どおりです。この章はそのつもりで、思いきり触ってください。
ひと口め: いまどこにいるか
シェルを触るときの第一の問いは、いつも同じです。「いま、どこにいるのか」。
pwd/home/userpwd は print working directory(いまいる場所を表示する)の略です。/home/user があなたの家で、プロンプトの ~ はこの場所を指す記号です。
次に、家の中に何があるかを見ます。
lsdocuments examplesls は list。フォルダが2つあると分かりました。
ふた口め: 歩いて、中を見る
cd documents
pwd
ls/home/user/documents
ArchitectureOverview.png WebAssemblyTools.pdf Welcome.txtプロンプトも変わったはずです(user@:~$ から user@:~/documents$ へ)。
プロンプトは常に「いまどこにいるか」を教えてくれています。迷ったら pwd、そして目の前のプロンプトを読む。これだけで、シェルの怖さは半分になります。
ファイルの中身も見られます。
cat Welcome.txtWelcome to WebVM: A complete desktop environment running in the browser
WebVM is powered by CheerpX: a x86-to-WebAssembly virtualization engine and Just-in-Time compiler
For more info: https://cheerpx.iocat は「中身をそのまま出す」だけのコマンドです。もっと詳しく見たいときは -l を付けます。
ls -ltotal 0
-r-xr-xr-x 0 root root 367678 Jan 1 1970 ArchitectureOverview.png
-r-xr-xr-x 0 root root 265186 Jan 1 1970 WebAssemblyTools.pdf
-r-xr-xr-x 0 root root 206 Jan 1 1970 Welcome.txt数字はファイルの大きさ(バイト)です。左端の -r-xr-xr-x は誰が何をしてよいかの札で、第4章の主役になります。いまは「そういうものがある」とだけ覚えておいてください。
家に戻ります。
cd ..
pwd/home/user.. は「1つ上」を表す記号です。 cd だけ打っても家に戻れます。
み口め: 作って、消す
ここがこの章のいちばん大事なところです。消えても本当に困らない場所は、いましかありません。
mkdir sunaba
cd sunaba
touch memo.txt yotei.txt
lsmemo.txt yotei.txtmkdir はフォルダを作る、touch は空のファイルを作るコマンドです。では、消します。
rm memo.txt
lsyotei.txt何も聞かれませんでした。「本当に消しますか?」も出ず、ゴミ箱にも入りません。消えたら終わりです。
これはシェルの不親切ではなく、思想です。打った人が分かっていると信じて、そのとおりに実行する。速さと引き換えに、確認は自分でやることになっています。
だから第2章では、rm の前に必ず ls で確かめるという手順ごと覚えてもらいます。
もうひとつ試してください。自分のものではないファイルを消そうとするとどうなるか。
cd ..
rm documents/Welcome.txtrm: remove write-protected regular file 'documents/Welcome.txt'?これは聞いてくれます。 n と打って Enter を押し、消さずにおいてください。
書き込みが禁止されたファイルのときだけ、rm は確認します。逆に言えば、自分で作ったふつうのファイルは黙って消えます。この非対称を知っておくと、確認が出たときに「あ、これは自分のじゃない」と気づけます。
リロードしてみる
ブラウザを再読み込みしてください。sunaba フォルダも、消したファイルも、全部元どおりです。
この使い捨てが試食の値打ちです。次の章からは、あなたのパソコンの本物のファイルを触ります。そこでは元に戻りません。怖い操作をここで一度やっておくのが、この章の目的でした。
この道具の性格
| 感じたこと | シェルの考え方 |
|---|---|
| いつも「どこにいるか」を意識する | ファイルシステムは場所。コマンドは「いまいる場所」に対して効く |
| 確認してくれない | 打った人を信じて、そのまま実行する。安全は手順で作る |
| 短い言葉ばかり | ls cd rm。1日に何百回も打つものだから短い |
ここまでで分かること
「合わないかも」と思ったなら、それも収穫です。15分で分かったなら上出来で、それがこの試食コーナーの目的です。別の言語を試すのも、まったく正しい進み方です。
「もう少し触ってみたい」と思ったなら、次の章で Linux のコマンド をあなたのパソコンに入れます。ここから先は手元に残る道具を作ります。
持ち帰りに進む前に
次の章で入れるものと、かかる時間の目安です。
| 内容 | |
|---|---|
| 入れるもの | Macは何も要りません(ターミナルが最初から入っています)。WindowsはWSL2(公式のコマンド1行+再起動) |
| ダウンロード | Macは0MB。Windowsは1〜2GB |
| 時間の目安 | Macは10分、Windowsは45〜60分(ここだけOSで大きく違います。正直に書いておきます) |
| 環境構築の重さ | Mac ★☆☆ / Windows ★★☆ |
こうなっていればOK
卒業まであと4章です。
この章はまだ完了していません。
保存できませんでした(プライベートブラウズ中かもしれません)。この端末に進捗は残りませんが、先へは進めます。